Vol.12 下肢静脈瘤の合併症について②

下肢静脈瘤うっ滞症候群

静脈瘤などによって下肢の静脈がうっ血した状態が長く続くと、下肢静脈の循環障害によって、〝下肢静脈うっ滞症候群〟とよばれる様々な症状がでてきます。前回に引き続き〝うっ滞症候群〟による症状について述べていきます。

⑤下腿潰瘍(かいよう)

下肢静脈瘤が進行すると、血液循環が悪くなって皮膚組織が栄養障害を起こし、皮膚が薄く弱くなります。その結果、ちょっとした打ち身やひっかき傷がもとで、傷が広がり、しかもなかなか治らずに皮膚が欠損した状態(皮膚潰瘍)を生じるようになります。潰瘍は、下肢静脈瘤の最終段階で最も重症な合併症の一つです。
静脈の逆流を繰り返し、静脈の拡張、静脈圧の上昇、リンパの流れのうっ滞、さらに感染などが原因で生じます。潰瘍は良くなったり、悪くなったりを繰り返し、次第に大きく深くなり、潰瘍の数が増えていきます。潰瘍は通常膝から下に生じます。静脈瘤による潰瘍が、足の指や太ももに生じることはまずありません。足の指にのみ潰瘍がある場合は、動脈の閉塞や糖尿病による可能性が高いので、精密検査が必要です。
また、静脈性の潰瘍では、その病態の基礎にあるものは、静脈血のうっ滞ですので、潰瘍の周囲に正常の皮膚は存在しません。潰瘍周囲の皮膚は硬くなり色素沈着を生じています。皮膚の血液循環が悪いので潰瘍は治りにくく適切な治療をほどこさないと徐々に増悪、拡大します。下腿潰瘍は治りにくいことで有名です。潰瘍の治療は、安静臥床と適切な圧迫治療ですが、下肢静脈瘤が未治療なら静脈瘤の根治手術を行わなければ、完治することはありません。

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