結城産業の工房は、張り替えを今か今かと待つふすまと障子たちでいっぱいだ。
幼い子どもたちの手で、楽しそうに破られた障子。
家の老朽化とともに、思い出のように褪せてしまったふすま。
何回も何回張り替えられた、ちょっと悲しそうなアパートの押し入れの扉。
それらが、職人によって丁寧に丁寧に美しく蘇る。
まじめに丁寧にひたむきに。
2代目の息子が、父親の背中を見て表装技能士1級の資格を取ったのは33歳の時。
福山生まれの福山育ち。実直な性格が技を磨く。
「見えない下処理こそ大切、和室の良さも伝えたい、日本の風土にあう様々なメリットも伝えたい」
修復が必要なものはきちんと手を加え、
見えない「裏打ち紙」や「のり」など材料や素材にもこだわる。
伝統的な建具は、何度でも張替えができる。その都度、新品の仕上がりを楽しめるのだ。
大げさな表現や特売はない。
そこにあるのは、明瞭な価格と信用だ。
目的と予算に応じて決して押し売りはしない。
だから、1枚のふすまでも引き取りに行き、配達もする。
お客さんは、様々な柄や仕様からゆっくりと選ぶことができる。
ふすま、障子の守るべき伝統と今の生活様式にも合う商品の進化に、技と想いをのせて、
今日も一枚一枚丁寧に張り替えていく。
幼い子どもたちの手でも、破れにくくなった強撚紙の障子。
家の老朽化が嘘のように華やかに明るくなったふすま。
下処理に手を加え、価格も抑えられて大家さんも喜んだアパートの押し入れの扉。
職人によって丁寧に丁寧に美しく蘇った。