INTERVIEWEE
津之郷公民館/河村 育弘館長
1つ目のお宝は、江戸期に造られた「本谷砂留」です。
▲全長38m、高さ8m。アーチが美しい本谷砂留。築堤年は不詳だが、江戸時代のものと伝わる。
津之郷町の本谷川にある本谷砂留は長さ38m、高さ8mにわたる石積で、アーチの美しい砂防ダムです。福山城ができた頃と同じ時代のものとみられています。すぐ上流にある、広島県が整備した親水公園には散策路や東屋などもあり、歩きながら自然を満喫できます。砂留までの山道は車1台がやっと通れるほどですが、毎年ホタルが飛び始める6月には、町民約150人で上がって、草刈りや雑木の伐採などをし、我々の大切な憩いの場として守ってきました。
ここから北東へ約1kmのところ、津之郷と山手の境にも、砂留「俄山(にわきやま)第二砂留」があり、こちらは有志団体「里山里地を守る会」と「薪割りtai」が整備し、市民交流の場になっています。
2つ目のお宝は、「津之郷町散策マップ」です。
▲津之郷公民館で無料配布されている津之郷町散策マップ
マップはB4三つ折りサイズで、本谷砂留はもちろん、福山市の文化史跡に指定されている「本谷弥 生遺跡」「本谷1号古墳」「坂部4号古墳」、広島県の文化史跡「廃和光寺跡」、室町時代後期頃のものと伝わる串山城跡など、弥生時代から古墳、室町、江戸、明治、大正、昭和まで、各時代の貴重な史跡をまとめて紹介しています。
惣堂明神社に残る屋敷跡には豊臣秀吉ゆかりの逸話が、廃和光寺跡には足利尊氏が立ち寄ったという逸話が残っていて、県外の歴史愛好家らが団体で訪れるほど注目されています。また、弘法大師が杖で突いたことにより霊水が湧き出るようになった、かつての湯治場「俄山弘法大師堂」には、水汲み 場と入浴場、宿泊場があり、いまも霊水の力を求めて訪れる人を癒しています。
制作したのは2016年12月です。8年がかりで編纂した津之郷町史が2012年に完成したとき、私たちも知らない歴史的財産がたくさんあることが分かり、これらを訪ね歩けるマップを作ろうという機運が高まりました。大人から子どもまで、たくさんの方に歩いてもらって、津之郷の宝として次世代に語り継いでいきたいです。