「そういえば、遺言書があったでしょ?あれってどうなるのかしら」
妻の直美さん(仮名)に言われ、三島洋介さん(仮名)はハッとしました。今三島さん夫婦が住んでいる自宅(洋介さん名義)は洋介さんの死後長男の和彦さん(仮名)に継がせるつもりでしたが、和彦さんは結局自分でマンションを購入し自宅は要らないという話になりました。ならば次男の剛士さん(仮名)にと思っていた洋介さんでしたが、和彦さんと話をする前に、自宅の土地と建物は和彦さんに相続させる旨の遺言書を書いてしまっていたのです。
こういう時は、どうすれば良いのでしょうか?
結論から言いますと、一度作成した遺言書でも後から内容を修正することは可能です。遺言書の作成には大きく分けて自筆で作成する方法と、公証役場で作成する方法がありますが、自筆の遺言書を自宅で保管している場合、直接加筆・訂正するか新しく差し替えれば効力は認められます。
これに対し、遺言書が公正証書として公証役場で保管される公正証書遺言はどうなのでしょうか。最初の時と同様に手数料と二名の証人が必要ですが、こちらも改めて公証役場で遺言作成を行うことで、遺言の内容を更新することができます。
2020年7月からは、自筆の遺言書を法務局に保管することも可能になります。これは、自筆遺言と公正証書遺言双方のメリットを合わせた制度と言えるでしょう。証人も不要で、費用も公正証書ほどかかることなく、確実に保管することが出来ます。後から保管申請を撤回して遺言書を返してもらうことも可能です。