【福徳産業株式会社/細田 信彦】ー 手袋の国内生産量1位ー 現場を支える進化を続ける

INTERVIEWEE
福徳産業株式会社
代表取締役社長 細田 信彦さん(72)

昭和45年創業、日本製にこだわる

手袋や軍手の国内生産量で日本一を誇る企業が福山にある。千田町にある昭和45年創業の福徳産業だ。靴下やアームカバーも含めて1千種類を展開し、ピーク時で月70万組を出荷した実績を持つ。

社長の細田さん自ら企画の先頭に立ち、社内デザイナーらと商品を開発、系列会社のエキヤ産業で編み立てて、滑り止め加工までの全過程において一貫生産する体制を確立した。細田さんは「“働く人を応援します”という従来の社訓を基に、現在は“お客様に安全・安心、快適と健康をお届けします”と理念を具体化させ、幅広いニーズに応えています」と語る。

耐熱・防寒・耐切創性プラス遊び心

本社2階の展示場には、耐熱・防寒・耐切創性を備えた製品をはじめ、消臭効果を強化した機能的な製品が並ぶ。手袋は、小指の又を下げた独自の編み立てでフィット感がよく、滑り止め部分を花や恐竜の模様に加工して遊び心を加えるなど、機能性と楽しさを備えた多彩な商品も目立つ。さらに自社開発の氷冷式ベストをはじめ、安全靴やベルト、バッグ、ミズノのワークウェアなども取り扱い、仲卸としての役割も担っている。400℃で炭化する素材やチェーンソーの歯を止める繊維を採用した作業服、接触冷感のアームカバーなど、先端素材を活用した新商品も数多い。「納入先はワークショップ(作業服専門店)やホームセンターが多かったのですが、コロナ以降、楽天市場をはじめとするECや、制服や作業用として企業へ直接という比率が上回ってきました」と推移も示す。

さらに、環境や健康への配慮も同社の特徴。全商品で環境ホルモン規制対象のフタル酸エステル不使用とし、綿手袋でも蛍光染料を使用していない。

健康づくり、働きやすい環境づくり

細田さんは竹原市の生まれ。大学は農学部で微生物研究に励んだ。福徳産業は、父が構想し6歳年上の兄が社長(現在は会長)であり、高校時代から家業を手伝っていたという。社長職は、47歳のときに引き継いだ。「この年で働いている人はなかなかいないでしょう」と笑いながらも、週2回のジム通いやガーデニングで体を整え、企画や経営に最前線で取り組む。

福徳産業は、離職率の低さも特徴で、「私が甘いのかもしれません」と語りつつ、営業・製造・事務などの適性に応じた配置転換を行い、働きやすい職場づくりを進めてきた。女性が多い職場の特性を踏まえ、女性管理職の育成にも意欲を見せる。「建設や製造業、運送、医療福祉、食品など幅広い分野を支える製品を届け、困ったことを解決する進化を続けます」と力強く語る姿に、国内トップ企業としての誇りと歩みが映し出されている。

INTERVIEWEE DATA
福徳産業株式会社
福山市千田町2丁目44-14
TEL:084-955-0806

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