公民館長さん、学区のお宝を2つ教えてください!【桜丘公民館】

INTERVIEWEE
桜丘公民館/臼田 徹館長

1つ目のお宝は、旅人たちを導いた「吉津の道標」です

北吉津町(中)交差点に残る道標。これは、この場所がかつて福山城の城下町と地方を結ぶ重要な三差路であったことを記す石柱です。

「従是東 京大坂道」「従是北 石州道」と刻まれた文字は、ここから東が神辺街道、北が石見につながる藪路街道であることを示しています。水野勝成公が入封した頃、両街道は交通の大動脈でした。
周辺には、神辺城の大手門を山門にした實相寺や、福山城地にあった常興寺より移した本尊をまつる 胎蔵寺など、勝成ゆかりの古刹が多く残り、どれも城郭のように立派な石積みの塀があります。 2016年に、備陽史探訪の会の田口義之会長を招いて開催した歴史探訪ウォーキングには、幼稚園児から80代まで約160人が参加して地域の歴史と文化を学びました。

1633年に開山した實相寺。山門は神辺城の山門の一つを移築したもので、市の重要文化財に指定されています。

實相寺の境内で、ここが水野家の家老上田氏や阿部家の家老内藤氏らの菩提所であり、境内には両氏らのお墓があることを学びました。

こちらは胎蔵寺。神辺城主・福嶋丹波によって神辺城下に移されたあと、福山城の鬼門守護としてこの地に 遷されました。

▲胎蔵寺の本尊、釈迦如来坐像は広島県重要文化財です。

福山城の周辺に残る多くの寺院からも、街道の示す道標からも、勝成公の城下づくりの輪郭が伺えま す。400年前に、ここを行き交った人々に想いを馳せながら歴史を感じることができる貴重な史跡なのです。

福山城の周辺に残る多くの寺院からも、街道の示す道標からも、勝成公の城下づくりの輪郭が伺えます。400年前に、ここを行き交った人々に想いを馳せながら歴史を感じることができる貴重な史跡なのです。

2つ目のお宝は、14kmに及ぶ天然記念物!「福山衝上断層」です

福山北消防署から東へ約400m進んだ県道379号線沿いの山側に、福山衝上断層・奈良津露頭が見えます。昭和44年に県の天然記念物に指定された珍しい断層です。 一般的な断層は割れた面に沿ってずれ動いているだけですが、衝上断層は、ずれた断層の上側がずりあがったような形になっています。地殻変動で地層の最深部の花崗岩が衝き上がり、地表に出てきたものとされており、学術的にも非常に珍しいと言われています。奈良津露頭に設置されている案内看板でも「この地方の地形と地質構造を知るうえで貴重な地質現象」と説明してあります。
ここでは地層の一部だけが露出していますが、断層そのものは木之庄町から坪生町を経て岡山県笠岡市篠坂まで、総延長14kmにも及ぶ大きなものです。蔵王町で露出している「蔵王城山露頭」も同様に、県天然記念物指定を受けています。

奈良津露頭は、昨今の豪雨や台風の影響で土砂崩れの心配もあるため、現在は近寄らないように柵がされていますが、全国的にも珍しい地層が学区内にあるのですから、地域の中で語り継いでいくためにも“お宝”として紹介したいです。

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