INTERVIEW No.859
SOL FARM ソルファーム
石井 元喜 さん(35)
無農薬でスーパーフードを
金江町にある約5反(5千㎡)の土地で、モリンガやキャッサバ、ビーツ、レモングラス、ケールなど、スーパーフードや珍しい野菜を育てています。ジャムやお茶などの加工品も作っています。
キャッサバは、さつま芋に似た野菜で、東南アジアやアフリカで主食としている国もありますが、日本では冬越しが難しいことから出回ることは少ないです。母国で馴染んだキャッサバを見て、すぐテレビ電話で故郷の家族に報告したり、私たちをアミーゴと呼んでくださったりということもあり、ニーズを感じました。昨年は5~600本を挿し木し、約半分が収穫に漕ぎ着けました。
また、大三島で何年も農薬を使っていないレモン畑も任されることになりました。
全体で昨年は25種を育て、今年は10種に絞りますが、全て直売でヤマサキショップ、アリストぬまくま、LECT広島、まあるい食卓…想いを伝えられる所に置いてもらっています。
看護師夫婦が農業に参入
前職は看護師です。倉敷中央病院に13年勤務し、2人目の育休中に「人生このままでいいのか?」と考えはじめて、2人でソルファームを設立しました。2023年のことでした。
スローライフに憧れたのですが、実際は超ハードライフ。元々農家ではないので実家の近くに畑を借りて、住むところを決めて、農業機械を買って、野菜作りを学んで…まさにゼロからのスタートですよ。
少ない種類を大量生産する道もあったのですが、作物ごとの化学肥料や農薬を勉強するよりも、安全な土作りを学びたいと二人の考えが一致。菌床を元に微生物で地力を上げながら、太陽の力を活かした野菜を作ろう。それが私たちの選んだ農業のやり方になります。
地域をつなぐ。農業と医療で
昨年、重症心身障がい児と医療的ケア児の通所施設ソアレさんと連携して、キャッサバの植付けと収穫体験を企画しました。車椅子を離れることは少ないお子さんたちですが、防草シートを敷いて土に触れながら作業するところまで、サポートを得て体験してもらえました。地域のマルシェでケア児と一緒に販売もしました。医療に関わりがない人も巻き込みながら社会に参加していきたいとの思いからです。今年も実施を予定しています。
今後は、珍しい野菜がもっと身近になるよう、食べ方の提案をしたいですね。扱ってくれる飲食店を増やすとともに、福山の安全な食材を使ってお惣菜や手軽なミールキットを作っていきたい。どんなにパワーがあっても野菜だけでは食事は成り立たないですから。看護師だったらこう、という「選食」を具体化し、農業と医療と地域をつなぐ役割を果たしたいです。近々では金江町に直販所を作ること。また、全国に出荷するような珍しい農作物も手がけようと調整中です。
■ PROFILE
■1989年、福山市生まれ。妻の詩織さん(1988年、倉敷市生まれ)とともに倉敷中央病院看護師を経験。2023年UターンしSOL FARMを設立、スーパーフードの有機栽培に力を注ぐ
■ SHOP DATA
SOL FARM ソルファーム
農場:福山市金江町/レモン畑:愛媛県今治市大三島
TEL:090-7898-7290
インスタ/@solfarm_motoki_superfood