直腸脱は、直腸が肛門をこえて外部に脱出する病気です。診断は、脱出した時に肛門部を診察すれば容易ですが、直腸粘膜脱や内痔核の脱出との区別に注意する必要があります。
肛門を締める筋肉(肛門括約筋)が加齢によって緩むことが最多で、排便時にいきみ過ぎることも一因になります。直腸粘膜脱は、内痔核を保存的に治療(薬や注射)した既往がある人に多く見られ、また以前に痔核の手術として行われたホワイトヘッド手術後に起こるものもあります。
直腸脱を治すには、手術が必要です。手術の基本は、脱出した直腸を元に戻し、再び出てこないように緩んだ肛門を締めること等です。手術法は非常に多く、実際に行われているものだけでも20種類以上あります。開腹または腹腔鏡下で直腸を固定する方法や、肛門から行う方法など多数あり、患者の状態や希望も考慮して決定します。高齢者やさまざまな併存疾患をかかえた全身状態が不良な患者さんでも、経肛門的手術であれば局所麻酔で施行可能です。
直腸脱は、高齢の女性に多い病気で、社会の高齢化に伴い増加傾向にあります。直腸が脱出すると日常生活に支障をきたし、外出するのも億劫になります。脱出が頻回になると肛門のしまりが悪くなり、便漏れをきたすことも多くなります。症状のある方は、早期の専門医受診をお勧めします。
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