シリーズ経口血糖降下薬⑧【経口GLP-1受容体作動薬】

 GLP-1受容体作動薬は、血糖依存性にインスリンを分泌して血糖を下げるだけではなく、食行動を変容させて食事量をコントロールする作用も期待できる2型糖尿病の治療薬です。血糖依存性ですので低血糖が起こりにくく、また食事療法が不十分な肥満患者さんにも良き適応となります。

 GLP-1はそもそもペプチドホルモンであり、胃からの吸収効率が悪く、これまで発売されたGLP-1受容体作動薬は、全て注射薬でありました。しかし、SNACという技法を用いて吸収促進剤を添加することで、胃からの吸収効率が飛躍的に向上し、昨年、一般名セマグルチド(商品名リベルサス)という経口血糖降下薬となって登場しました。ただ経口薬ではありますが、用法及び用量における注意事項があり、1日のうちの最初の食事又は飲水の前に、空腹の状態でコップ約半分の水(120㎖以下)とともに1錠服用すること、と添付文書に記載されており、また、他の薬剤と同時に服用しないように注意が必要です。これらを厳密に守らないと、GLP-1の効率的な吸収がなされず、その結果、十分な血糖降下作用が得られない可能性が高いので、患者さんへの服薬指導は重要です。

 実臨床では、インクレチン関連薬でありますので、第一選択薬として使用するのではなく、まず、DPP-4阻害薬を使用し、それでも血糖コントロールが不良な患者さんに経口GLP-1受容体作動薬に変更して使用していくケースが多いと思われます。直接的な比較はありませんが、注射のセマグルチド(商品名オゼンピック)とほぼ同等の効果があると言われており、また薬価も注射薬ほど高くないため、患者さんの経済的負担も軽減されますので、今後、長期処方解禁(本年12月)になりましたら、かなり使用するケースが多くなるのではないかと予想します。通常用量は7㎎でありますが、やはり注射薬同様、高用量(14㎎)にしますと、有害事象である悪心・嘔吐の出現頻度が増してきますので、その点は、あらかじめ患者さんへ説明しておく必要があろうと思います。

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