七福神に大黒天がおられます。ふくよかな笑顔で米俵に立ち、打ち出の小槌を持ち、袋を担いだ姿が印象的です。真言宗寺院では台所を守る仏様として大黒天をお祀りします。お寺の奥さんのことを地方によっては「大黒さん」と呼ぶことがありますが、台所に立って仕事をすることの多いお寺の奥さんのことを、かつては男性のみで過ごしていた道場の中に居る女性に対する隠語として用いられていたのです。
上記のような姿は、日本に請来されて大国主命と同体であるとされたからであって、古代インドでは「マハーカーラ」という憤怒の姿で恐ろしい神様であったのです。サンスクリット語で「マハー」は絶大、「カーラ」は暗黒を意味します。この世に悪が蔓延した時、再生のために全てを破壊する神様なのです。その破壊は、ただ壊してしまうためではなく次なる成長や豊穣のためのものであることから、福の神として迎えられたのです。
当山の台所にも大黒天がお祀りされており、日々欠かさずお祈りさせていただいております。ぜひご利益をいただけますようお参りください。