Vol.25 下肢静脈瘤と皮膚症状について

Q. 下肢静脈瘤で皮膚に症状が出ることがありますか。

A. 静脈瘤で皮膚に様々な変化が起こることは意外と知られていません。しかし、湿疹や色素沈着、蜂窩織炎など、多彩な皮膚病変が生じ、静脈瘤の治療をしない限り治ることはありません。

Q. 静脈の病気でなぜ皮膚の症状が出るのですか?

A. 静脈瘤ができて血流が悪くなると、心臓に戻るはずの静脈がうっ滞するために、下肢に老廃物が溜まりやすくなります。静脈血がうっ滞した皮膚は薄く、弱くなるので、軽い打撲などの僅かな刺激でも傷になり、細菌などの感染症にもかかりやすくなります。
 湿疹は、静脈瘤ができている皮膚や足首周辺にできることがあります。薬を塗ってもなかなか痒みが治まらず、いったん良くなっても症状が再熱し、何度も繰り返してきちんと治らない特徴があります。皮膚を掻き過ぎると炎症が起こり、ますます難治性になっていきます。
 足首やすねの皮膚に茶色や黒褐色の色素沈着を生じることがありますが、静脈血がうっ滞すると鉄などの色素成分を含んだ液がしみ出してきて皮下組織に沈着するため、皮膚の色が変わってしまいます。また血管の壁がもろくなると、ちょっとした打撲でも内出血が起こりやすくなり、皮膚に色素沈着がおこる原因にもなります。
 下肢静脈瘤によって、傷つきやすくもろくなった皮膚から侵入した細菌が皮下で繁殖し、強い痛みを伴う炎症を起こすこともあります。足が赤くパンパンに腫れ上がり、全身がだるくなり、高熱も出ます。蜂窩織炎という状態で、早急に病院で抗生物質の点滴などの応急処置を受けることが必要です。治療が遅れると、細菌が血液に入り込んで全身にまわり、敗血症を引き起こして重症化する危険もある状態です。

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