今回ご紹介するのは、フルクラスⅡの上顎前突症例です。
当初は抜歯矯正を回避するため、まず「カリエールモーション」を2か月間使用し、上顎臼歯の遠心移動を試みました。しかし、本症例はⅡ級の程度が強く、噛み込みも深かったため、期待した効果は得られませんでした。
そこで治療方針を変更し、上顎第一小臼歯の抜歯を選択。臼歯関係はフルクラスⅡのまま残し、前歯の位置をコントロールしながら理想的な咬合を目指しました。
前歯の後退(リトラクション)には、パワーフックとアンカースクリューを併用。これにより、前歯を単に後ろに引くだけでなく、トルクを正確にコントロールしながら移動させることができました。
治療期間は2年10か月。
その結果、フルクラスⅡの臼歯関係のまま、前歯部では理想的なアンテリアカップリングを獲得。最終段階ではアライナーを用い、ディテーリングを行うことで、さらに精密な咬合へと仕上げました。
矯正治療では、段階的に抜歯の必要性を検討する方法は、安全性の高いアプローチといえます。
広島県福山市西深津町5-23-41