深部静脈血栓症
足の深いところ(筋肉の中)を流れる深部静脈に血栓(血のかたまり)ができることを深部静脈血栓症といいます。足が大きく腫れてズキズキとした痛みを伴い、足関節を背屈させるとふくらはぎに痛みを生じる特徴(ホーマンズ徴候)があります。血液がうっ滞している状態では血液は固まりやすくなります。外科、整形外科、婦人科などの長時間の手術の際には、静脈血がうっ滞する状態が続くので血栓症ができやすくなります。また、寝たきりで足を動かすことのない人、骨折などで足をギプスで広範囲に固定している人などでも血栓症が生じやすくなります。
また、経口避妊薬やホルモン剤などを内服している方の血液は固まりやすい傾向にあり、脱水状態も注意が必要です。下肢静脈瘤の患者さんが深部静脈血栓症を起こす確率は、静脈瘤のない人に比べると高く、深部静脈血栓症の発生に関して、静脈瘤も危険因子の一つであるとされています。
右足に発症した深部静脈血栓症
肺動脈塞栓症
深部静脈にできた血栓がはがれて心臓に向かい、そして肺動脈に入り、肺動脈が詰まって閉塞してしまう状態を肺動脈塞栓症(肺梗塞)といいます。血栓が小さく、詰まる範囲が小さければ無症状のこともありますが、から咳や胸痛、血痰がみられることもあります。
しかし、太い肺動脈が急に閉塞すると、肺から血液への酸素の取り込みができなくなり、安静にしていても息苦しくなり、最重症では突然失神し、そのまま命を落とすこともあります。長時間、飛行機などの狭い座席に座っている時に起こる「エコノミークラス症候群」も肺動脈塞栓症の一種です。