住宅

ー 好きなコトの世界が広がる家 ー 丁寧な仕事で3世代にバトン

Style Design by 井上建設
代表取締役
井上 正敏 さん(50)

土間スタイルを公開中

「スタイルデザイン」は、建築家やデザイナーがセレクトしたプランやコーディネートを注文するだけで、こだわりのスタイルが叶う建築システム。創業64年の井上建設も、このシステムを取り入れており、3代目社長の正敏さんは特に、吹き抜けが印象的で、玄関から続く土間をリビング他に利用できる斬新なプラン《土間スタイル》に惚れ込み、力を入れている。
「土間は仕事や介護・子育てにおいて実用的で、趣味にも活かせます。自転車をはじめアウトドアのアイテムを飾ってもいいし、仲間が集うミーティングスペースにしてもいい。自分らしい使い方が加えられる空間なんです」。ぜひ実体験してほしいからと、福山唯一の《土間スタイル》の家を加茂町八軒屋に建設。室内は色味を抑えたニューヨークのブルックリンスタイルで統一し、公開している。イベントスペースにも無料で利用可能だ。

建築だけに浸り、旅で自分探し

「生まれて間もない頃から昼間は父の会社にいました。母が電話に座布団をかぶせて、私が大きな音で目覚めて泣かないようにしたそうです」。ごく自然な流れで、九州の大学を出て大手ゼネコンに就職。一級建築士、宅地建物取引主任者の資格も取り、地元に戻って家づくりに携わった。
「建築に浸るような人生です。建築がなければ、自分はどんな人間だろう。そんな思いが募って旅に出たのは38歳のときでした」。ワゴン車の後部座席に畳を敷き、利尻・礼文島から与那国島まで1年半かけて回った。「肩書きも何もない茶髪アフロの〝私〟という人間力が試される旅でした」。乗鞍岳に装備無しで登って「死ぬ気か」と咎められたこと、沖縄でのスキューバダイビングで潮流の速さに驚いたことや貴重な出会いなど、生き生きと語られる体験談は尽きることがない。この旅を通して自分と向き合えたのは言うまでもなく「今では登山も装備を整え、ダイビングは妻と一緒です」。土間の一角に、使用感のある登山靴とウエットスーツが飾られていたのは、空間演出ばかりではなかったようだ。

納得の家を丁寧な仕事で

「社長になって12年。家に求められるものは、相当なスピードで変化しました」。応接間や床の間が減って広いリビングになり、震災後は耐震構造が、近年はゼロエネルギー住宅が求められる…。「苦しみました」と振り返りながら、「スタイルデザインを取り入れて、ようやく〝これなら〟という建築になりました。今が本当のスタート地点かもしれません」と顔を上げた。
吹き抜けが定着するにも年月を要したことから、現代的な土間の用途も焦らずしっかり伝えたいと腰を据え、「どの家も信頼する職人たちとの丁寧な仕事で、次の次の世代にもバトンをつなげるよう、つくりあげます」と語っている。

 

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福山市瀬戸町長和2775  TEL:084-951-2522

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