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異業種リレーの『わ』

特集・読み物


2018.10.27

異業種リレーの「わ」No.632 鞆の浦・さくらホーム 作業療法士 羽田 知世さん

今回は、「AUTHENTIC JOURNEY」桑田雄さんのご紹介により、「鞆の浦・さくらホーム(福山市鞆町鞆552 TEL:084-982-4110 )」作業療法士、羽田 知世さんに登場願いました。

 

「これまでどおり」が自然にある場所に

 

…鞆のお年寄りを鞆で支える
 弊社は、理学療法士の母が2003年に鞆町に立ち上げた介護福祉の会社で、江戸時代の商家を改装したグループホーム「鞆の浦・さくらホーム」や小規模多機能型居宅介護施設のほか、放課後等デイサービスや重症心身障がい児の多機能型事業所など5施設を運営しています。全て町内にあり、鞆の方と鞆に縁のある方に限定し、生活圏内の施設に通ってもらっています。

 創業のきっかけは、脳梗塞で半身麻痺になった姑、私の祖父を母が介護したことでした。顔が広かった祖父は、身体の自由がきかなくなって車椅子生活になったとき、周りの気遣いや憐れみの視線に耐えきれず、外に出る気力を無くしたそうです。しかし、病気をする前と変わらない態度で接してくれた旧友がいたことで、元気を取り戻しました。母にとって、このことが原点となり、誰もが地域で普通に暮らしていくための受け皿を、自分の手でつくろうと決意したそうです。そして今、私たちは、利用者さんを地域の方々と一緒に24時間365日支えています。


…福祉の国デンマークで得たもの
 そんな母を見て育った私は、自然と福祉の道に進み、作業療法士になりました。いずれは母を手伝うのだろうと思いながら、23歳から4年間、岡山県のリハビリ医療施設に勤務し、その後、福祉が充実した国デンマークに1年留学しました。入学したのは、もともと興味のあった全寮制の成人教育機関フォルケホイスコーレです。

 この学校はデンマークの各地にあり、基本的にデンマーク人は20歳前後に数ヶ月から約1年、ここで人間性や社会性を養います。私の学校では、健常者と障がい者、留学生などがバランスよく在学し、共同生活を送っていました。言葉や文化が違う人も、重度の障がい者や胃ろうの人も一緒に勉強し、何にでも挑戦します。ロッククライミングだって、車椅子の人が行きたいなら一緒に行き、彼ができないことをみんなで手伝って上まで登り切るんです。身体の自由がきかないなら周りの手を借りてゴールを目指すのは当然のことで、本人もそのことに全く遠慮はしません。障がい者と健常者が、清々しいくらい対等でした。留学した当初は、街を歩くと車椅子の人や杖をついている人が多いことに驚きましたが、それだけ気軽に外出できる環境が整っていて、障がい者の自立概念が国民の意識にしっかり根付いているからなんだと納得しました。

 介護が必要な人もそうでない人も、住み慣れた地域で普通に生活するという、母の目指す社会が、この国ではすでに当たり前にありました。


…15年で築いた基盤を力に
 帰国後、私はさくらホームに入社し、介護の経験を積んで、33歳から本部の職員になりました。今は地域のいきいきサロンや小学校に出向いて話をしたり、子どもたちの施設見学を受け入れたり、福山市のまちづくり事業に関わったりして、自分の経験や想い、弊社のビジョンを伝えています。最近は、障がいのある子どもたちを対象にした事業を始めたこともあって、彼らが学校卒業後に働ける場所が少ないことに問題意識を持っています。今年4月には町内の喫茶店を引き継ぎ、カフェ「鞆の浦ジェラート・フラット」をオープンさせました。将来的には、社会に出にくい人が働ける場所にしていきたいです。

 創業から15年経ち、これまで「職員が地域化する」を合言葉に地元行事に積極的に関わるなどしてきたことが、今ようやく実を結び始めている気がします。入所者が人や地域との関係を保ったまま生活できるようにと頑張ってきたことですが、新しい入所者がすでに職員と顔見知りだったり、施設に知り合いがいたりと、「初めまして」ではない場所になったと感じています。

 介護は職員だけではできません。地域の力、周りの力が絶対に必要です。このことを1人でも多くの方に理解してもらうことが私の役目だと思っています。


異業種リレーの『わ』

◎この記事を書いたのは




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