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WEB in 1面記事

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2014.4.30

「金襴」新時代—伝統産業の今、そして未来へ⑦ —

 中国発祥の伝統織物・金襴。日本における、いや世界における金襴の歴史は、ある時点から、神辺町川北の中村金襴工場の歴史と重なってくる。国内で唯一、引箔金襴の量産が可能な体制をもつ〝ナカムラ〟の新たな挑戦、金襴の新時代にスポットをあてた。

— この10年、金襴は劇的変化を経て、新たな時代を迎えた—
 引箔(ひきはく)金襴の全国シェアが100%に届こうという㈲ 中村金襴工場(神辺町川北☎084-963-0066)の中村幸弘社長は、良く言えばだが…と前置きしてこう語り始めた。


❖金襴とその歴史
 金襴とは、糸に金箔を巻きつけた金糸や、細く切った金箔で文様を織りだした織物の総称。単色の地に金糸が多い。主として掛軸、仏具、袈裟、人形衣装などに使われている。
 中国で約1千年前の宋の時代に発明され、明代に全盛期を迎えたとされる。日本には鎌倉時代に伝わり、室町時代に茶の湯の流行により盛んに輸入された。江戸時代には金襴を織る技術も渡来し、京都で盛んに織られるようになった。
 なかでも古代中国の技術で、和紙に薄くのばした金箔を漆で貼付け、糸状に細く裁断して緯(よこ)糸にして織り込んだ生地は「引箔(ひきはく)金襴」あるいは単に「引箔」と呼ばれ、生地の裏側に和紙素材が白く見えるのが特徴。中国では既に金襴製造が消滅しているため、伝来の地にのみ残された文化であるともいえる。
 

❖中村金襴の創業
 中村金襴工場は、もともと大正時代にリボン織物を手がけており、1927年(昭和2年)に、中村嘉一氏が京都の問屋からの要請で創業した。
 昭和30年代には、中村式引箔金襴織機の開発に成功し、特許技術により、国内唯一の量産体制を築いた。
 しかし、生活の西洋化や布地の多様化により、需要は減った。10年ほど前から、京都を中心とする問屋制度の崩壊も進んだ。東日本大震災では、相当量を占めていた東北地方の需要が激減。同業者は次々と廃業に追い込まれていった。
 そんな中、中村金襴は小ロットにも大量生産にも対応しながら生き残り、現在、帯を除く引箔金襴95%のシェアを占めている。
 仮に金襴織機をフル稼働した場合、1日1台あたり8m×全50台。年間200日稼働したとして、80,000m織る能力を有する。織柄も、3,000種前後ある。

❖洋への発想転換
 金襴需要が大きく変化する間、中村金襴工場も、これまでの用途にとらわれず、市場ニーズを受けとめながら一気に洋風に転じてきた。その指揮を執ってきたのは、2012年10月に5代目に就任した中村幸弘社長(59歳)=写真左。
 幸弘社長の祖父にあたる創業者・嘉一氏の名をとってインテリアとギフトの「CAITI」ブランドを提案すると、洋の生活スタイルに馴染むよう、彩色を抑えた黒×銀などのモダン金襴で、クッションやテーブルライナーなどを製作した。


 そして、大きな転機となったのがホログラム金襴、エナメル金襴という新時代のテキスタイル(織物)開発。パステルカラーの金襴も織り始め、ドレスやストール、バッグ、スニーカーといったファッション業界とのコラボレーションが一気に加速した。スニーカーの中には販売即完売のものが多い人気ぶりだ。


 そして、本来の伝統的金襴を使って今年発表しのが、下記事にある金襴日傘になる。
 こうしたコラボ商品は、中村金襴の直販ではないため、なかなか手に取ることが難しいが、福山では「ブティックナカムラ」(延広町☎084ー922ー1844)に一部置かれている。
 
❖この次の10年へ
 「金襴は、似て非なるものに変わっていくだろう」。そう断言する中村社長。超有名なアニメ映画とのコラボ作品も進んでおり、予想もしなかったところから需要がある。市場もシンガポール、中国、東南アジア方面を視野に入れる。
 中村金襴からNAKAMURA KINRANへ。世界市場での活躍にも注目したい。

❖2014世界初 引箔金襴の日傘

 中村金襴工場で織られた引箔金襴の生地に、UV加工・撥水加工をして、ハマヲ洋傘店(東京都三鷹市)の鎌田オーナーが仕上げたのが「ナカムラの日傘」。
 通常2〜3年待ちと言われる人気傘職人の心を動かした金襴は、優先的に仕上げられ、今年1月に銀座で発表されたばかり。4月末から銀座などで一部展示販売する。
 伝統工芸が別の分野で花開き、「芸術品として後世に残したいものができた」と自負する中村社長。『鞆の浦慕情』を歌う岩佐美咲さんに続き、某大使館へプレゼントする予定もあるという。上代は8万円。
 目下、軽量で汎用性に優れ、単価をおさえられる緞子(どんす)生地による日傘試作も進んでいる。